
『アボンリーへの道』というカナダのドラマをご存じでしょうか?
『赤毛のアン』の架空の村「アボンリー」の人々を
美しくユーモラスに描いた、名作ドラマです。
このシリーズの中に、「サナトリウム」という副題の回が
あります。(原題: “Thursday’s Child” )
どのような内容かというと・・・
キング家の娘セシリーが、肺結核になってしまいます。
この時代では「肺結核=死」というイメージの強い病気です。
村の人たちはパニックになり、家族の者は差別されて、
母親のジャネットは「子供を病気にした」という罪悪感から、
精神的に追い詰められていきます。
事情は全く違いますが、どこか、今の私たち、
地震や原発に対しての私たちの様子に似ていないでしょうか?
原発の事では、周辺に住む方々が病院で拒否されたりという
悲しい事実が報道されています。
遠くで見ている者は、それを聞いて憤るわけですが、
ちょっと何かが違えば、差別する側にもされる側にもなり得ます。
それは今回のことだけでなく、様々なことに当てはまることです。
だから、今どの立場に居るにしても、他の立場になる可能性がある、
ということを念頭に置いて、このドラマを一度見て頂けないでしょうか。
*アボンリーへの道 61話「サナトリウム」
(視聴には Veoh Player のダウンロードが必要です)
※ダウンロードしたプレイヤーを立ち上げたままで、
上記リンクを開いて再生して下さい。
また、動画そのものをダウンロードしてプレイヤー内で
視聴することも出来ます。
ーーーー✂ 以下、少々ネタバレあり ✂ーーーー
ドラマの途中で、アンのファンの方にはおなじみの
ミセス・リンドがセシリーの病気について、
姉のフェリシティに文句を言う場面があります。
リンド夫人が帰った後、フェリシティは言います。
「どうしてあんなに怒らなくちゃならないの?
妹だって、好き好んで病気になった訳じゃないのに!」
この時、これもおなじみのミス・ステイシーが言うのです。
「怒っているんじゃないのよ。怖いの。恐ろしいの」
ステイシーさんは、どちらに対しても感情をぶつけず、
ただフェリシティを励まし、彼女らしい知性で、
何ができるかを探します。
また、親戚なのに差別する側に回ってしまった人たちは
子どもを医者に診てもらい一安心してこう言います。
「正直言って恐ろしいんです。
なんとかして力になってやりたいと思うんですけど、
家族に病気がうつってしまうことが怖くて・・・」
お医者さんは、
「家の中に入らずに助けられることもあるじゃないですか」
と促し、やはり彼らの「出来ること」を見つけます。
遠くに居て何も出来ずにもどかしい気持ちを抱えている人、
近くに居ても目に見える何かができずに罪悪感を感じる人は、
きっとジャネットのつらい気持ちを分かってやれると思います。
また、ジャネットのような人が身近にいる人は、
きっと夫のアレックやイライザおばさんの気持ちに
寄り添うことができるでしょう。
放射線のことで大騒ぎになった時、
特にホテルで宿泊拒否などが起きていると聞いた時、
この回のことが頭に浮かびました。
差別に憤る人たちは、差別する側の怖い気持ちを理解し、
差別をしてしまっている人たちは、
怖い怖いとただ騒ぐだけでなく、正しい知識を得て、
自分にもできる何かを、一緒に探してみませんか?
差別する側も、それに憤る側も、立場を選ぶことが出来ます。
が、唯一、される立場の人間は、立場を選ぶことが出来ません。
どちらにも立てず真ん中で押される人間のことを一番に考え、
行動したいものです。
私もあれからずっと、自分にもできる「何か」がないか、
考え続けています。